CONTENTS 概要
大分県の芸術文化事業として1998年にスタートした「別府アルゲリッチ音楽祭」。“鍵盤の女王”“生けるレジェンド”の異名を持つ世界的な天才ピアニスト、マルタ・アルゲリッチを総監督に迎え、毎年開催されている音楽祭は「大分の宝」と称されています。
そのような素晴らしい音楽の時を与えてくれるマルタ・アルゲリッチへ、財団名誉理事椎木正和氏から尊敬と親愛の証として、アルゲリッチ専用のピアノ「マルティータ」とともに贈られたしいきアルゲリッチハウス。ここにしかないアルゲリッチの名前を冠した世界で唯一無二のハウスから、私たちはアルゲリッチの架け橋として音楽の喜びをその精神とともに発信しています。
コロナ禍の中で開催された「2020-21アルゲリッチハウス室内楽シリーズ」のテーマは、“今、あなたに伝えたいこと”。音楽家の想いを音楽に託し伝えていただきます。そこには、音楽が人と共にあることや、心の交流を通じて「共有」することの素晴らしさを感じてほしいという思いを込めています。
18回目となる今回は、日本を代表するヴィオラ奏者でアルゲリッチハウス レジデント・アーティストの川本嘉子さんと幅広い分野で大活躍されている才能豊かなピアニストの阪田知樹さん。
お二人の才能が響き合い生み出される音楽の喜びをみなさんと分かち合いたいと思います。
このサイトでは、プログラムの中から2曲を収録しています。
【収録内容】
C.フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 (川本嘉子 編曲/ヴィオラ版)
C. Franck: Violin Sonata in A major (arranged by Kawamoto Yoshiko/viola version)
F.プーランク:15 の即興曲 第 15 番 ハ短調 「エディット・ピアフを讃えて」(阪田知樹 編曲/ヴィオラ版)
F. Poulenc: 15 Improvisations XV in c minor “Hommage a Edith Piaf” (arranged by Sakata Tomoki/viola version)
CAST & STAFF キャスト・スタッフ
<川本 嘉子, ヴィオラ (Kawamoto Yoshiko, viola)/しいきアルゲリッチハウス レジデント・アーティスト>
1992 年ジュネーヴ国際コンクール・ヴィオラ部門で最高位。1996 年村松賞受賞。1997 年第7回新日鉄音楽賞・フレッシュアーティスト賞受賞。2015 年東燃ゼネラル音楽賞・奨励賞受賞。京都アルティ弦楽四重奏団、AOI レジデンス・カルテットのメンバー。桐朋学園大学を卒業。1989 年、1990 年にはタングルウッド音楽祭に招待を受けて参加。1991 年東京都交響楽団への入団をきっかけにヴィオラに転向。1999 年より 2002 年退団まで首席奏者を務める。サイトウキネンオーケストラ、小澤音楽塾、水戸室内管弦楽団、別府アルゲリッチ音楽祭等にも定期的に参加しアルゲリッチやバシュメットなど世界一流のソリスト達と共演し絶賛を博している。NHK 交響楽団首席客演奏者。
<阪田 知樹, ピアノ(Sakata Tomoki, piano)>
2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール(ブダペスト)第1位、6つの特別賞受賞。ハノーファー音楽演劇メディア大学ソリスト課程ピアノ科在籍。第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール最年少入賞。キッシンジャー国際ピアノオリンピックでは日本人初となる第1位及び聴衆賞。NHK「らららクラシック」、「名曲アルバム」、テレビ朝日「題名のない音楽会」、TBS「芸能人格付けチェック」、TVアニメ「四月は君の嘘」、NHKFM、J-WAVE等多くのメディアにも出演。2020年3月、 世界初録音を含む意欲的な編曲作品によるアルバムをリリース。2017年横浜文化賞文化・芸術奨励賞受賞。 (公財)江副記念リクルート財団奨学生、 (公財)RMF奨学生。
MESSAGE 主催者コメント&見どころ
<しいきアルゲリッチハウス 伊藤京子さん/別府アルゲリッチ音楽祭 総合プロデューサー、しいきアルゲリッチハウス プロデューサー>
社会が混迷を深める中でコロナ禍が起こりました。
この経験で思い至った芸術の真髄-人と共にある社会へ
「芸術は孤高なものではなく、人と共にあるもの―」
これはアルゲリッチの言葉です。
この言葉が、音楽はいつも人に寄り添い、人と共にありながら、私たちに安らぎと希望を与えてくれる「祈り」なのだと私に気づかせてくれました。
芸術の本質は、その精神性にあるのだと思います。人が人である大切な心を呼び覚ましてくれます。だからこそ偉大な先人から受け継がれてきた芸術は、人類の遺産として未来へ伝える必要があり、人の心の在り方や生き方にも大きな影響を与えるのだと思います。
芸術は社会を作る土台となり、大切な「人」を育てることにも繋がっていくのです。
コロナ禍後の世界を思い描いた時、社会は新たな転換期を迎えるのだと思います。
期待されるのは安寧で心豊かな「人が真ん中」という成熟した社会の創出であり、その一旦を担うことが音楽の大事な使命だと感じます。
ここ大分では、戦国時代に西洋の息吹に包まれていました。キリシタン大名である大友宗麟が音楽を含めて西洋の文化を受容していた時代から460年後、この地に舞い降りたのがミューズ マルタ・アルゲリッチです。
歴史が導いた「奇跡」を強く感じながら、寛容の精神が、豊かな心を育み「共に生きる」という穏やかな社会を生んでいくのだと思います。
アルゲリッチと私たちは「社会の中での芸術」を常に考えクラシック音楽が、「人が真ん中」にある希望と光に満ちた社会づくりの一助になることを心から願っています。
芸術が世界を変えるのです。
新しい時代を共に創っていきましょう。
PHOTO GALLERY ギャラリー
REVIEW レビュー
コロナに負けない創造性を感じる演奏会だった。力を与える芸術だった。強烈にひきつけられお二人の演奏に心から感謝です。
アルゲリッチハウスの室内楽シリーズは、音響の良いホールで素晴らしい演奏を聴かせて頂けるので楽しみにしております。伊藤京子さんのお話も中身が濃くて毎回楽しみです。現在のメッセージ "音楽とSDGs"も大切な思想です。自由に触れ合えて、活動できて、音楽会が楽しめる日を一日も早く作れることを願っています。今日はフランクのヴァイオリン・ソナタ(ヴィオラ版)が特に素晴らしかったです。本当に心に響きました。
しみじみ幸せだなと感じさせて頂いた時間でした。ピアノとヴィオラの会話するような演奏が楽しく美しかったです。